あなたの恋人になりたいのです。


「ふぎゅっ...」

「おまえ、勝手にいなくなんなよ・・・心配する」


私を優しく包んだのは、額に汗を光らせる私の大好きな人だった。

「す、すいません・・・」

「あぁーまじ疲れた(笑)」

そう言って笑顔で私にデコピンした先輩。


でも、何か様子がおかしい。


いつも先輩しか見てない私ならすぐ先輩の異変に気付ける。


尋常じゃないくらいの汗。

わたしも知らないうちに全力でここまで走って来てたけど、こんなに汗かいてないし、こんなに時間もかかってない。

しかも、先輩が私より足が遅いなんて考えられない。


だって学年で1番足速いんだから。


「先輩どーしたんですか?」

「あぁ?なんもないけど?」


そんな顔に見えない。

私は心配になって先輩の体に異変がないか近づいてみた。


私には先輩が足をかばってる様に見えた。


単刀直入に聞いてみた。

「先輩・・・足どうかしたんですか?」

「へ?あぁ・・・なんもないって!帰るぞー」

そう言って歩き出した先輩。

でもやっぱり気になってしょうがない私。
もう完全に日は暮れていた。

これから家までだいたい30分くらい?


もし、先輩が本当に足を怪我してるんだとしたら・・・。

30分ももつだろうか?

あんなに汗をかいて。あんなに歩くのに力がはいって。


不安がもっと大きくなり、先輩の腕を思いっきり掴んだ私。



「なんだよ!帰るぞ?」

「先輩・・・その前に、足見せてもらえませんか?」

「なんでよ(笑)足フェチ?」

そう冗談半分で答える先輩。

でも、私・・・わかった。

先輩のことなら何でもわかるよ。絶対怪我してる。

「足見せてください!」


そう言って、先輩を近くの青いベンチに座らせ、引きずっていた方の足のジャージをまくってみた。


「なに・・・これ」



< 26 / 32 >

この作品をシェア

pagetop