あなたの恋人になりたいのです。

先輩のジャージをまくって驚いた。

てか、驚いたどころじゃない。


「先輩・・・どーしたんですか...これ」

「ん?気にすんな」

先輩の足は、青紫色に腫れ、血も大量に出ていた。

来るときはこんな歩き方じゃなかったし、いつもの三浦先輩だった。


私は悟った。


「さっきの人にやられたんですか?」

「ん?だから気にすんな」

「気にしない訳ないじゃないですか!!!」


私が大きな声を出したら先輩は無言になってしまった。

「やべぇー...この足じゃテニスできないなあ~(笑)・・・」


先輩なりに明るく振舞ったつもりだろう。

でも・・・わかっちゃうんだってば。いつも先輩しか見てないから。

今の先輩の顔・・・すっごく悲しそう。

大好きなテニス出来なくなっちゃったから。

「あ、あたしのせいですか?」


私が疑問に思ったこと。

だって、急に相手が暴力振るうわけないじゃん。

「何言ってんの?んな訳ないじゃん!」

「でも、何もないのに暴力振るったりしませんよね!?」

「ちょっと・・・色々あったんだよ...。咲希には関係ない」

「関係ないって・・・」


“関係ない”

たった6文字で先輩が遠い存在に感じた。

私は・・・。
なんて、無力なんだろう。こんな先輩を見て何もできない。

こんな自分の無力さが悲しく思えた。



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