群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜
「やばい!」「逃げろ!」

「裏口はあっちだっ!!」


思いのほか、男たちは逃げ出した。



…いなくなるのを見計らって、急いで晴海くんの元に駆け寄り、




「晴海くんっ!…晴海くんっ!!」


しゃがみ込んで、晴海くんの手を握り、私は何度も何度も──…悲鳴に近い声で呼んだ。




一瞬だけ、目が開いた……気がしたけど、結局そのまま動かなくて……




「うごかないよぉ〜」


駆け寄ってくる大ちゃんに訴える。



「落ち着いて。…大丈夫、気を失ってるだけだよ。」


そう言って、私の肩を軽く叩き、大ちゃんは晴海くんの片腕を持ち上げて、自分の肩に乗せた。




「……私も手伝う」


震える手を押さえ、私は立ち上がって、もう片方の晴海くんの腕を自分の肩に乗せた。



まさか、こんな形で晴海くんに出会うなんて思ってなかったから…。



「……どこ運ぶの?晴海くんの家?」


「…や、僕んとこだな。こんなんで届けたら、絶対オバチャン卒倒するよ。」



「…そっか。心配性って言ってたもんね…」



晴海くんを見る。けど、うなだれていて髪の毛しか見えなくて…。




「それよりさ…」

「うん…」


「これ、重いよね。何食ったらこんなにデカくなるんだ?…僕の方がいっぱい食べてんのに…ったくっ!」

大ちゃんが晴海くんをアゴで指して、ぶつぶつ呟いた。


その仕草と、大ちゃんの相変わらずの口調がおもしろくて


「大ちゃんだって背、伸びたでしょ?私より大きいよ」


「僕はみんなを見下ろすくらいになりたかったの〜!なかなか伸びないし、女に間違われるし…」


──…確かに。
相変わらず、そのへんの女子より可愛い顔してるからね、大ちゃん。


ぶーぶー文句を言ってるとこも可愛いよ?


ついつい笑ってしまう。


「あ、今、おーちゃん笑ったでしょ?!切実なのに〜!」

またぶーぶー言ってるし。変わらない大ちゃんがいてくれてよかった、少し安心してる自分がいた。


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