群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜
「……ごめんなさい…」


やっと出た言葉はこれだけ。


「いや、僕も。冷静にならないといけないのに。

ごめんね…」


私の肩にそっと手を置いて

「…ハルに『女の声がした』って聞かれたよ。『誰?』って。

…普段だったらアイツ、僕が誰と居たって全然気にしないのに。


忘れてないんじゃないかな?
おーちゃんの声。」

────……え?


パッと大ちゃんを見る。


大ちゃんは微笑み

「これ、置いてくる。」


私の肩から手を離し、グラスを持って出ていった。



晴海くんが私の声を覚えててくれた?


本当かどうかはわからない。けど、


それだけなのに
嬉しくて胸が高鳴る。



晴海くんの手を握ってた自分の手を頬に当てた。



─…まだこんなにドキドキするのに、隣にいるのはどうして彼じゃないんだろう。



ダメだ…。久し振りに大ちゃんや晴海くんの顔を見て、私は涙腺が壊れたみたい。


大ちゃんが戻ってくるまで、ほんの少しだけ…

涙が頬をつたってた。


─────────
───────────


「ハル、寝ちゃったよ。」

数十分後、大ちゃんが戻ってきて、空になったグラスを流し台に置く。


「……大ちゃん…。」


「…どうした?眠い?」


私は首を横に振る。



「…私と先生のこと、全部話すから。……けど…」


「…………」


大ちゃんは私の目の前の椅子に座る。


「大ちゃんが大学受験終わって、高校卒業したらで…」


「へ?なんで?!」


──…ここで言ったら普通気になるよね、けど…


「…大ちゃんと…あの人は『先生と生徒』だからだよ。無事、大ちゃんの卒業するのを確認しないと不安だから…。」


──じゃないと、私と大ちゃんがこうして会ってたのを涼が知ったら、変に勘繰りそうで…大ちゃんに何かしないとは限らない。


そういう人だから。涼は。

「必ず話すから。…ね?」
…じっと大ちゃんの顔を見た。
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