群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜
《あ、ハル?…私。》


「……瑠美さん」


《ねぇ、ハル。今からうちに来ない?ハルのぶんも夕飯作ったから一緒に食べよーよ?》


…今の俺に


瑠美の、鼻につく声がムショウに俺を苛立たせる。



「…ごめん。友だちと食べてるから。」



《…友だち?……女?》


「男だよ。」


少しの沈黙のあと


《嘘!ハル、ずーっと来てくれなかったじゃない…


いまだって…どこにいるの?誰といるの?!

なんか言い方冷たいもん。

──…絶対、女とだ。》



おいおい…また、このパターンかよ。


いっつもそうだ。


一人でいても疑われ、
友だちといても疑われ…



誰が俺を信じてくれるんだ?



俺はイライラが頂点に達した。




「もう、瑠美さんのご想像にお任せするよ。」



《えっ?──…何それ…》


「…俺を信用しない女は俺も信用できない。

俺たち、これで終わりってこと。


…もう二度とかけてこないで。」


そう言い放って一方的に電話を切る。



こんな終わらせ方、久しぶりだ。いつもはうまくかわせたのに…。


余裕がなかった。



「……ったく、何なんだよ…」




女は…優しい顔で近付いてきて、平気で嘘ついたり、

何事もなかったように笑いかけたり、


勝手に嫉妬したり、束縛したり……



ムカつく…。




俺は携帯を無造作にズボンのポケットにしまい、そのまましゃがみこんだ。



このまま席に戻ったら、彼女に酷い言葉をぶつけそうで…戻れなかった。



彼女を目の前に、まともでいられる自信も余裕もなくなっていた……。


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