群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜
「そーっすか?『奥さん』ってケッコー響きがよかったんですが…」


真くんが『考えるポーズ』をとって真剣に悩んでるから


「名前でいいよ?」


変なことで悩ませちゃったみたいだから慌てて声をかけるけど、


「う〜ん…『ミオさん』じゃ堅いよな?『ミオちゃん』じゃ失礼だし…?」


真くんがパッと顔を上げ、

「『ミーちゃん』はどうっすか?!」



"これだ!"って顔をしてる真くん。



「真ちゃ〜ん。」

大ちゃんが右手の人指し指を立て、笑いながら


「"みーちゃん"は美桜さんのお姉さんの呼び方だよ。」


「そうなの?じゃ、ミオさんは何て呼ばれてたんすか?」



「えっと…『おーちゃんだよ』


私の代わりに…大ちゃんが答える。


ドクン。。。


無意識に晴海くんを見た。


彼は水を飲みグラスを置く。


「あーなるほど。

じゃ、"おーちゃん"って呼ばせていただきますっ」


「うん。よろしく…」


私は

笑顔の真くんより

その隣で空になったグラスを眺めている晴海くんが気になった。


『おーちゃん』って聞いても


覚えてナイみたい。



心が沈む。




「なんだ〜ハル?元気ねーぞ?キンチョーしてんの〜?ホント、おーちゃんキレイだもんな〜♪

あ、もしや狙ってたとか〜?!お前ってヤツは見境ないな〜。

センセーの奥さまだぜ?」

ニンマリしながら晴海くんの顔を脇から覗き込む。



晴海くんは、顔を上げずに低い声で


「……人のモノにはキョーミねぇよ。」


すぐに真くんが


「またまたぁ〜♪」


茶化す声が聞こえたけど、全然耳に残らなくて…



残ったのは晴海くんのその一言だけだった。

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