愛にとろけて
とろけて、とけて
「あっ」
ジュウジュウと焼ける音の中、おもわず声をあげてしまった。
「んー、どーしたの~?」
「あー…。肉が金網の隙間から落ちちゃってさ」
今日は打ち上げで、仲の良い友達数人と、焼肉屋に来ていた。
最初から食べようと思って狙っていた肉だったのに、見事金網をすり抜けて届かぬ範囲へと逝ってしまわれた。
「えぇー。何それ超ショック」
「あと少しで食べ頃だったのに」
「あっは、超あるあるじゃん!ガチウケる~」
「あーもー、よし、次!次の肉狙う…ってもう食べられてるし!!」
だから限定して狙いをさだめてたのに…。
わざわざ皆が狙わないような小さいやつを。
「ごめ~ん、もう食っちった。つーか、何その顔!顔赤くね?えっろ~」
「うっさい。熱くなると顔が赤くなるの!」
と言いつつ、隙を見て友達から肉を奪って食べる。
そういえば、さっき誰かに見られている気がしたけど…。
「ま、気のせいかな」
「何がー?…ってあ!あたしの分食べたー!!」
あはは、と笑いながら次の肉を焼いていく。
焼かれていく肉を見て、たまらずうっとりと呟いた。
「やっぱ、肉サイコー」
END