―およげないにんぎょひめ―
某日、3年生全員参加の歌声練習会が校内のホールで行われた。が、綺麗な歌声よりも生徒達の五月蝿いお喋りとそれに対抗するかのような教師たちの罵声の方が大きかった。

「でさぁー、あいつキモイよね」
「わかるわかる、本当嫌だよね」
そのとき、教師の心は怪物になった。

「何度静かにしろって言えば解るんだよ!もうやらなくていい!」

菜摘は教師の大声に我慢することができず、人前で泣いてしまった。
(どうしてこの人達は人の言うこと聞くことができないの…)

何度注意しても、何度怒鳴っても無駄だった。彼らは健常者、教師は親のような存在だから。
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