―およげないにんぎょひめ―
何回も何回も練習をし、やっと綺麗な声がそろったところで今日の歌声練習会は解散となった。菜摘の顔は教師の罵声のおかげでクチャクチャになっている。

「綾瀬さんそうやって人前で泣くのやめてくんない?うっさいんだけど」
同じ普通クラスの女生徒が言う。
「解ってる」
「解ってるじゃなくてさぁー、本当やめて!」
「…………」

女生徒はそのまま友達と一緒に教室へ戻った。菜摘は、存在感が薄い感じで一人ぽつんと廊下につっ立っていた。
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