―およげないにんぎょひめ―
組の担任が目の前にいる。
「菜摘ちゃん、どうしてあなたああいう事したのかなあ?」
「みんなのおしゃべりがうるさくて…」
「だけどそうやって泣いてる場合じゃないよねえ、それぐらい我慢しようね」
先生は注意を促す。
「はい…」
(お前もなんだよ、なんでそうやっていちいち怒鳴るんですかー?)

ここで教師に返上したらとんでもないことになる、我慢する他はない…菜摘はそう感じた。

我々のような障害者は、このような自分の思いを伝えることができない。もし、健常者だったら、パニックを起こさず上手に怒ることができるのだろうか。
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