パレット
「ひとちゃんは、小野くんに好かれてるって、感じたことあった?」
「ずーーーっとなかった! 中学の時からの友達だし、わたしは長い間好きだったけど、絶対つきあうことなんかないと思ってたもん」
「えっそうなの?」
「花火の時だよ、初めて、アレ? って思ったの」
「花火って……一緒に行った時の?」
「うん。あの時、トイレから戻ったら弥白も神林くんもいなくて、わたしはすぐ電話しようとしたんだけど信に止められて」
「信、って」
「あ、わ! つい……。つきあってから、「しん」って呼んでるんだ、小野のこと……信一郎だから。あーもう、みんなの前では言わないようにしてたのに!」
ひとちゃんの顔が一気に真っ赤になる。
「えーいいじゃん、うちらとガールズトークする時くらい!」
弓美もすかさずつっこむ。
「そうだよ! で、で、続きは?」
「あいつらならほっとこう、って言われて2人で花火見て……帰りに、ほんとは最初っから2人のつもりだったんだけど、勇気がなくて神林たちについてきてもらったんだって言われた」
「ひゃーーーーー!!!」
「それもう好きだっていってるようなもんじゃーーーーん!!!!!」
あの、野球部の、ボウズ(じゃないけど限りなくそれに近い)、硬派そうな小野くんが!
恋って、すごい!