パレット

「きゃーっ槙十くんが女の子連れてきたーっヤダかわいい! 清楚系! ちょっとーやるじゃん! あ、初めまして! 兄がいつもお世話になってます妹の彩佳ですっ」

「あ、笠原弥白です。こちらこそ……」


「さーやーかっ! おまえ初対面だろ! 失礼! 挨拶くらい普通にしろよ!」

「槙十くんこそスムーズにご案内してあげたらどうなのー?」

「こらっ」


ぱ、パワフルだなぁぁ……。


迎え出てくれた彩佳(さやか)ちゃんは、寒いのに短いスカートを履いていて、廊下の奥に駆けていく。


「今のが、妹さん?」

「ん。妹の彩佳。小6」

「小6!? 中学生だと思った」

「あー、背ぇでかいし、口だけは達者だからな、あいつ」

「もしかしてみんな大きいの? 神林くんもけっこう背、高いよね?」

「母さん以外はわりとみんなでかいかも。俺はたぶん178くらいかな。笠原は?」

「160ぴったり。もう伸びてない」

「あれ、もうちょいあるかと思ってた」

「そう?」


うん、大丈夫大丈夫、普通に会話できてる……。

めっちゃ緊張してるけど!


「あ! なんか買ってくればよかった、手ぶらになっちゃった」

「え、いいよいいよそんなん。俺が強引に誘ったよーなもんだし」

「それは……そうだけど……」


商店街のお店は隣同士がとても近くて、細長い同じ形の、2階建ての同じような建物が連なっている。


開いているお店は飛び飛びだけど、それなりに主婦っぽい人が買い物をしていたり、そのまわりを子供が駆けまわっいて、なんだか懐かしくなる光景だった。

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