パレット
「わたしはいいから、弓美はどうなの」
「……今がんばってるよ。バイト先の、大学生」
「さすが弓美! 大学生! 大人だぁー」
「いや、全然、向こうのほうが子供っぽいんじゃないかってくらいなんだけど」
恋多き女だけど、あわてる弓美は、年相応にかわいい。
色白で、華奢で、明るく茶色につやつやしたパーマの髪。
華やかな顔立ちで、メイクもうまいし、制服の着こなしもオシャレで。
女子高生のお手本みたいな。
でも気取らないでサバサバしてるから、男子にも女子にも友達が多い。
わたしも、弓美みたいだったらなぁ……。
そう思ってると、弓美が急にわたしを指さす。
「じゃなくて、弥白の話! あたしだって、適当に言ってるんじゃないよ? 二人を見てて、いい感じだなって思うし、それに弥白には幸せになってほしいから」
「ありがと。わたしは十分、幸せだけどな? 弓美いるし」
「もーかわいいこと言うなぁ!」
弓美がわたしの黒髪をわしゃわしゃかきまわした。