パレット
「うげ! 72点!? もー弥白と脳みそとっかえたいわぁー!!」
「あーコラ勝手に見ないでよ!」
「いいじゃん減るもんじゃないし」
開き直った弓美には何を言っても動じない。
「でも弓美は英語めちゃめちゃいいじゃんーわたしなんか全部ダメだったぁー」
嘆いてるのはひとちゃん。
短縮授業になってからは恒例の、3人でのランチタイム。
部活のあるひとちゃん、このままバイトに行く弓美に合わせて、わたしもお昼は学校で食べることにしてる。
ひとちゃんは全部まんなかくらいの成績らしくて、わたしと弓美を頭良くていいなって言ってくれるんだけど。
「弓美はね、中学の時留学したことあるんだよ。だから英語はめちゃ得意」
「めちゃ……ってほどじゃ」
「えっそうなの!? そっか、2人っておんなじ中学?」
「まーね。っていうか保育園から一緒なんだけど」
「交換留学制度みたいのがあって、カナダの姉妹校に1年間通ったんだよね」
懐かしい話。
わたしと弓美は保育園で出会ってから、同じクラスじゃなかったのはその1年間だけなんだ。
「1年って長くない?」
「あー私立だったからねぇ」
「あ、そっか。うちら地元近いんだから公立だったら同じ中学のはずだもんね」
ひとちゃんが気付いた。
「え、じゃあ2人とも保育園から私立で一緒ってこと?」
「ううん、中学受験。そこはたまたま一緒だったんだよね」
「ん、偶然。だって小学校高学年の時あたしら仲良くなかったもんね」
「えぇっ?」
「高校は示し合わせて受けたんだけどねー」
「なんだか面白い関係なのね?」
「まーね」