パレット

体育祭実行委員は、野球部の男の子が立候補すると、その後すぐにバドミントン部の女の子も手を挙げてくれて話がついた。


わたしは体育が苦手だから、こういう話はまわってこない。


かなりあっさり決まったので担任は宣言通り席替えを行った。

全員くじを引き終わって、教室全体がざわざわと揺れる。


「わ、弥白、うちら斜めだよ」

「ほんとだ! よかった」

机の中身を全部出して鞄と一緒に移動すると、弓美の席が斜め右前だということがわかった。


わたしの席は、いちばん窓側の後ろから二番目。

どうやら今年は、端っこの席に縁があるらしい。

ちょっとラッキー。

とか思っていると、弓美が小声で付け足してきた。


「離れちゃったね」

「え、近いじゃん」

「ちがうよ槙十だよ」

神林くんは3列向こう、ちょうど教室のど真ん中くらいにいる。

「あー、だねー」

わたしはそっちのほうを見ながら無意識に答えていた。

「あれっ、素直!?」

「ちっ、がうよ、せっかく普通に話せるようになったから……まぁ、ちょっと残念だなとは……」

「あーはいはい、友達になったんだもんね」

そう言いながらニヤニヤしてる。


もう、弓美ってば、本当にそればっかなんだから。

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