パレット
「……止まった?」
「んー」
「絆創膏なら持ってるけど……消毒した方が良さそう。保健室行ってくる?」
「ん……」
相当動揺したのか、神林くんはのろのろ立ち上がった。
「……なんかまだ、血ぃ垂れそう。抑えてたいからドア開けてくんね?」
「あ、じゃあ一緒に行くよ」
2人で1階の保健室に向かう。
その間、神林くんはずっと指を抑えてた。
「失礼しまーす……先生いますかー?」
1階の廊下の奥の方、保健室は薄暗くて、どうも先生はここにはいないみたいで。
「いないみたい……消毒液なら勝手に使っても大丈夫かな?」
保健室に来たことなんてないからよくわからないけど……たぶん大丈夫だよね?
消毒液のビンと箱ティッシュを拝借して、椅子に座った神林くんの指を手当てする。
傷はそれほど深くはなさそう。
「ん、これで大丈夫じゃない?」
絆創膏を貼って、借りたものを返していると、大きなため息が聞こえた。
「ありがと……俺、実は血ってダメなんだよね」
……かわいい。