パレット
「どうしよう、緊張するー」
「笠原ちゃん、リラックスリラックス」
「園部さーん」
「ほら、気合い入れたげる!」
午後の競技も順調に進んで、あっという間に最後の全員リレーになっちゃって。
騎馬戦も他の競技もまあまあの成績で緑チームは1位を死守してたけど、赤チームとは10点差だから気が抜けない。
弓美に背中をパシンとたたいて気合いを入れてもらって、園部さんに励まされて、前のほうに並んだ。
プレッシャーに弱いから、前のほうにしてもらったんだ。
「位置について、よーい……」
パァンッ
って、心の準備まだできてないのに~!
8番目だからあっという間にまわってくる。
で、でもバトン渡しとかたくさん練習したし!
朝練とかでいっぱい走って体慣らしてきたはずだし!
わたわたしてるうちにバトンが手の中に来た。
一歩走りだしたらもう夢中で。
音なんか聞こえなくて。
でも
「笠原―――走れてる走れてる!!」
なぜか、バトンを渡す直前に、神林くんの声だけ聞こえた。