パレット
「上手いね」
神林くんは、廊下の装飾に使うという細めの角材を次々半分に切っていく。
「そう? まーそこは男として!」
あ、笑った。
この人は。
どんだけわたしを好きにさせたら気が済むんだろう?
いや、神林くんは何も意識してないってわかってるけどね?
「なんか久しぶりだな。笠原がそこの席に座ってて俺が課題やってさぁ」
「今度は指切らないでよー」
「ははっ、あんときはまじビビったわ。だいじょぶ、もう終わった」
あ、終わっちゃった。
もっと話してたいのに。
きっとすぐ部活行っちゃう……
よしっ、今日こそアドレスきかなきゃ!
「あ、そういやさぁ」
「あの、神林くんっ」