パレット
弓美に、落ち着いたら話したい、とメールしたら、程なくしてひとりで戻ってきた。
神林くんもクラスのほうにいったから、わたしたちは2人だけで話すことにした。
「弓美、ごめんね。ちゃんと話さなくてごめん」
「ほんとだよ……けっこうショックだよ? 信じてもらえなかったのかなぁって思った。こんなに長い付き合いなのに」
「信じてないわけじゃなかったけど、大げさにしたくなくて。弓美が怒ってくれちゃうのわかってたし……」
順番に、全部話していく。
うちらの間に空いた隙間を埋めるみたいに。
見くびられて悔しかったこと。
それ以上に、自分がとてもダメな人間に思えたのが辛かったこと。
信用を失いたくなくて……クラスの人がわたしを責めるんじゃないかと疑って、話せなかったこと。
「弥白は心配性だね」
「えぇ? そう?」
「普通そんなとこまで考えないって。考えすぎ。あと……自分ばっかり責めないでよ。弥白は何も悪くないんだから、誰も責めたりしないよ」
「そうかな……」
弓美が笑う。
そこが弥白のいいとこでもあるんだけどさ、って。
「あとあんた、まだ話してないことあるでしょ」
「ん?」
「槙十のこと」
あー……くると思った……。
ほんと弓美には敵わないなぁ。