親友と傘

「私は今生きているのだろうか」
消えかかっている心で考えた。
遮断された３年間の重さに耐え切れなくなっている私。
橋の中間あたりで傘が風で飛ばされた・・・いや逃げていったんだ。こんな私を隠すことを馬鹿馬鹿しく思って逃げたんだ。
雨に打たれているこの身体、もうどうでもよくなり橋から川を見おろした。
激しく流れている川。吸い込まれるように橋の手すりから身をのりだした。
「なにしてんのっ！？」
大きな声がしたと思った瞬間、後ろから橋の歩道まで引っ張られた。
大きな声を出した人と私はしりもちをついた。
「あんた何してんの？」
またさっきと同じ言葉をなげかけた。
「生きてるか、確かめたくて・・・。」
「はぁ？それで飛び降りようとしてたの！？ばかじゃないの？確かめる前に本当に死ぬよ。」
腕を掴まれうつむき加減の私を覗き込みながら言う女の人。
「それでも確かめたくて・・・。」
バチン！！！！
と言いおわる直前に左頬に激しい痛みがはしった。
「痛っ」
「痛い？じゃあ生きてるって分かるでしょ」
右手を左手でおさえた女の人。
「生きてんだ、なぁんだ。」
落胆となぜか安心という気持ちが出ていた。
地面が雨で冷たく冷やされている。
目の前にいた女の人は自分の傘を拾いに少し私から離れた。
(生きてるんだ。めんどくさいな)ふと気がつくと雨が当たらない、女の人は私の頭の上に傘をさしてくれていた。