トリップ少女

「カレン、待ってて。私が絶対何とかする。何とかするから、泣かないで」




カレンは顔を上げて、若菜をじっと見た





「魔女に交渉してくる。カレンが悲しいままで終わらないようにするから」




約束するから




カレンはそっと微笑んで、若菜の顔を両手で包んだ





あ・り・が・と・う


無・理・し・な・い・で





カレンは声を出さない代わりに、口で示した




「無理しないでって…どこまでもやさしいんだから!!」




-「おい、あそこにいたぞ!!」


-「おーい、無事かー!!」





「若菜、一旦隠れましょう」




カレンの優しい手が少しずつ離れて、若菜はミランに腕をひかれながら水中に身を隠した





「大丈夫か、立てるか?」

「こちらにお乗りください。お連れします」



従者がカレンを運んで行こうとした



カレンはいつまでもいつまでも若菜が消えた水面を見つめ続けていた


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