トリップ少女
海の中でも、魔女の住む所は邪悪を絵にかいたようだった
全体的に重く暗い雰囲気が漂い、辺りを泳ぐ魚は見たこともないほど大きな口や牙をもっていた
どす黒い深海魚が地を這い、別の魚の骨が散らばっている
サンゴや海藻も黒か紫か茶色かしかなく、人魚の住むところとは大違いだ
一番奥のほら貝の中に魔女は座っていた
「なんだお前か。どうだ?あのカレンとかいう人魚だったかね…?幸せになれそうかい?」
「その逆よ。あなたが望んだ通りね」
若菜はひるむまいと毅然として振る舞っている
ヒヒヒヒ
そんな若菜をあざ笑うように、下卑た笑いが響いた
「そうだろうそうだろう…所詮人間と人魚なんて幸せになれるわけないんだよ!!そう、幸せになるなんてあってはならないのさ!!!!」
ギャハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハ
「何がおかしいのよ!!」
若菜は理不尽としか感じられなかった
「どうして決めつけるのよ!!カレンが不幸になってそんなに楽しい!?」