トリップ少女
「…っかり、若菜、しっかり」
「ん…?あれ、ここ、どこ?魔女はどこへ行ったの?」
ミランが若菜を揺さぶっていた
ようやく目を覚ました若菜は状況がつかみ切れていなかった
「魔女の力で私たちは一気に外に出たわよ。ここはさっきカレンと別れた海岸の近く」
「そう、なんだ…」
若菜は右手を見る
先ほど渡された短剣がしっかり握り締められていた
「これをカレンに渡すのね」
「ええ」
短剣は文句のつけようがないほど鋭利で、月に反射して澄んだ光を放っていた
「カレンが自分でやらないと駄目なのね」
「そうなんでしょうね。この短剣を使った場合のお代は、カレンの【絶望】になってるみたいだし」
「…カレンに出来るかな」
「どうかしら。正直、難しいとは思うけど」
「カレンには殺人してほしくない。でも、カレンには可能なら元に戻ってほしいとも思うの」
「どうかしらね…とりあえず、カレンに話してみましょう」
カレンの部屋にはまだ灯りがついていることが分かった
二人はとりあえずカレンに話すべく、城へ向かった