トリップ少女

コン



小さい石をカレンの部屋の窓にぶつける




カレンはすぐに窓辺に駆け寄ってきて、嬉しそうな顔を見せた





「カレン、今話してて大丈夫?」


若菜が中の様子を伺いつつ尋ねると、カレンは小さく微笑んで、首を縦に振った





「あのね、カレンにはとてもつらいことだと思うんだけど…」


そういって若菜は短剣を渡し、魔女とのやり取りを細かく話した






すべてを話し終えたとき、カレンの顔は想像通り恐怖で青ざめていた


首を強く横に振り、体を震わせたまま、その場にしゃがみ込んで泣いてしまった



「カレン…」

「若菜、無理もないことよ。よりによって一番愛する人を自分の手で殺すなんて、こんな酷なことはないわ」



カレンが不憫で、二人は何も言うことが出来なかった






コンコン


-入るよ




「「やばい!!」」


ノック音と同時に扉があき、ミランと若菜は窓脇から飛びのいた



「どうしたんだ!」


王子は窓際で泣き崩れているカレンのもとに駆け寄り、肩を抱いていた


王子が優しく背をさするたび、頭を抱き寄せるたび、カレンの涙はあふれてとまることがなかった
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