トリップ少女

「泣いてばっかりいないで、しっかりみなさい」


ミランは若菜を諭した



若菜は素直に従った



「ちゃんと見てあげて」





カレンが飛び込んだところから、漆黒の海は淡いブルーになって、七色の泡がいくつもいくつも浮かんでは消えていった




 赤
 

    青


 緑


    黄


 桃


    橙


 紫





カレンの宝石の涙と同じ七色だ



ここまで儚く、澄んだ色を若菜は見たことがなかった



それはしばらく止まることなく、美しい七色の泡を若菜とミランは消えるまでずっと眺めていた




「これがカレンの生き様よ」



ミランがそう言って、空を見上げた





いつの間にか日が昇り始めていた


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