トリップ少女
次の日は王子の結婚式だった
王子は朝起きて、カレンの姿が見えないことを知って始終探し回っていた
-初めから身元不明の女だった、人知れずどこかへ行ったのだろう
家臣のものや王が口々にそういうのを王子は釈然としないまでも、式の準備に忙しく、探し続けるわけにはいかなかった
式は盛大に行われた
若菜とミランはその様子を王子とカレンが出逢った海岸から見ていた
幸せそうに笑う若き王子と王女が手を取り合っている
「結婚したんだね」
若菜は少し寂しそうだ
「そうね。幸せになれるといいわね」
「うん」
青い海に、白い城
青い空に、白い鳥
「若菜、見て。王子の胸」
「あ!」
王子の左胸には緑色の宝石が光っていた