月夜の太陽

ルナ・エメラルディア

部屋のベランダから見ると外はとても賑やかで、いつものお城の風景とは異なっていた。


ロナウドは初めて見る光景だからか、目を輝かせて外を眺めている。



『今日は何の日なの?』

「今日はお城の敷地内に色んな出店が並ぶ日よ」

『出店?』

「使用人たちは外に出ることを許されてないでしょ?だから最低1年に一度はこうやって街から色んなお店を招いているの」



私たち純血も滅多に街に出ることは許されない。


だからお城の敷地内に出店してもらえばいいと、お母様が提案して始まった。


最初は重役から反対されていたらしい。


それはそうだ。


どんな輩が紛れ込んでくるか分からないもの。



『ウェルヴィアがこんな事をしているなんて知らなかったよ』

「始めたのはここ数年だから、知らなくても無理ないわ」

『エメラルディア家に仕える使用人はきっと幸せだろうね。ちゃんと一個人として見てもらえるのだから』



ふんわりとした笑顔で外にいる色んな人に目を向けているロナウド。


他の国ではありえないことかもしれない。


異世界にいたお母様は、他のバンパイアとは感覚がやっぱり違うんだなと改めて思った。






< 183 / 471 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop