月夜の太陽
『いいえ、私も一緒です』



ロナウドが横に立ち、私の腰に腕を回し体を抱き寄せられた。


今のこの状況を察してくれたんだろう。



「ロナウドも一緒だったのね」

『本が好きだと話したら、ルナが連れて来てくれたんです。ですが、そろそろここを出なければ、本に興味のないルナに呆れられてしまいそうです』

「ルナはジッとしているよりも体を動かすほうが好きだものね」



和やかに話しているお母様とロナウド以外、緊張している雰囲気が漂っている。



「もうお部屋を出るなら降りていらっしゃい。みんなの事を紹介するわ」

「えぇ」



お母様は私がみんなの事を知っている事は勿論知っている。


だけどここで紹介もなしにやり過ごす事はとても不自然だと思ったのだろう。


私はロナウドに腰を抱かれたまま、寄り添うように階段を下りた。


ロナウドがいなければ私は動揺し、泣いてしまっていたかもしれない。





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