月夜の太陽
「ご主人もあの、何て言うか…その、お堅い感じなんですか?」

「主人をよく知らない者は皆口を揃えてこう言われます。なんてぶっきらぼうな男なんだ、と」



ラキの言葉に私は笑ってしまった。


私は小さな頃から知っているからそんな感覚はないけれど、お母様も初めて会った時はそう思ったと言っていた。



「エレナも知ってる人だよ」

「私の知ってる人!?顔も??」

「顔も知ってる」



眉間に皺を寄せて一生懸命考えているエレナが可愛かった。


「ん~」っと言いながら考えているが、やっぱり分からないみたいだ。



「騎士団長のエルグラムだよ」

「えぇ!?嘘でしょ!?でも…あの険しい顔……似てるかも」



その言葉に私たちは思わず噴出し大声で笑ってしまった。


楽しい雰囲気を楽しめるのは今この部屋にいる間だけ。


きっと食事の後は昨日の様に重く深刻な話になるだろう。


今のこの時間がまるで夢の様に感じられた。






< 273 / 471 >

この作品をシェア

pagetop