月夜の太陽
楽しい食事も終わり、食器類は使用人によって下げられた。


代わりに全員分のティーカップが用意され、ラキが紅茶を入れてくれた。



『サハルド、報告を頼む』

『はい』



気付けば気配を消したサハルドが入り口に立っていた。


お店では決して見せることのなかったサハルドの鋭い表情を見て、リリアさんたちは驚いているようだ。


サハルドはお父様の斜め後ろに姿勢よく立ち、報告を始めた。



『昨日奴らの後をつけたところ、ウェルヴィアとデトイスとの間にある暗黙の森へと姿を消しました』

『中には』

『申し訳ありません、森の入り口には時空を歪める結界が張られていた為、それ以上は追跡できませんでした』

『いや、よくやってくれた。続けて周辺の調査を頼む』

『了解致しました』



サハルドは報告が終わると静かに部屋を出て行ってしまった。


時空を歪める結界が張られていては安易に中に入ることは出来ない。


相手は相当力を持っている組織のようだ。




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