月夜の太陽
仕事の時の顔をしたお父様と目が合い、私の体は自然と強張った。


こんな顔を向けられたのは初めて。



『ルナ、お前も話すことがあるだろう』

『……最初にソルを襲わせたのはビリー様じゃない…ロナウドよ』

『何故ロナウドがソルを襲う必要が?アリアの子供だと知っていたのか』

「ロナウドは知らなかった。ただ、イエラ様を守るために私と婚約する必要があったの。最初はロナウドからの脅迫で始まった婚約だった…だけど、半分は自分の意志でもあった」

『ロナウドにそういう気持ちが少しはあったと?』

「違う……アリアさんの話を盗み聞きしてしまったの。ロナウドがこれ以上ソルに関われば出生のことがばれてしまうと思った…ソルを守りたかったの」



隣に座るリオが優しく手を握ってくれる。


そんなリオに私は笑顔を向けた。


今はまだ泣くときではない。



『ロナウドは何からイエラさんを守りたかったんだ』

「人格が変わってしまったビリー様から」

『人格が変わってしまった?』

「ビリー様はとても優しい方だったそうよ。だけど、その怪しげな商人と関わるようになって変わってしまったと……横暴で暴力的で感情の押さえが利かなくなってしまったと言っていたわ」



あんなに笑顔の素敵なイエラ様を傷つけるなんて、許せない。


知ってしまった以上、私も守りたいと思った。





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