月夜の太陽
何故か心の中は複雑な思いでいっぱいだった。


ローズ様はそのことをどう捉えているんだろうか。



『自分が抱えられるものだけをしっかり抱えていればいい』

『抱え…られるもの……』

『王に就任する前のことを考えると、私もソルに偉そうなことを言えた立場ではないがね』



シエル様は厳しくもありお優しい方でもある。


だから皆に慕われているんだろうとも思う。



『出来るだけ多くのものを守りたいんです』

『そう最初から力む必要はない。まだ父が王を務めていた頃は私はとても自分勝手に生きていたよ』

『でも、母はシエル様は王に就任する前から素晴らしい方だったと言っていました』

『時には必要なことだが、私のダメなところの一つでもある。自分の腹の中は見せずに、表面的なものを良く見せるのが得意だ』



シエル様の言う表面的なものがどういうものなのか、いまいち理解できなかった。


そういう感じを見せたことがあっただろうか。






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