月夜の太陽
シエル様の話では、カインは術に関しては普通の術よりも闇の術の方が得意だったと言っていた。


ジェイド様の話を聞いている限り、闇の術の方がどうやら高度なようだ。


今日も結構長い間ジェイド様は付きっ切りで術を教えてくれた。



『今日はこの辺で止めておこう』

『はい、今日もありがとうございました』

『ソルは疲れたような顔をしないよね』

『……表情に出すのは苦手なんです』



ジェイド様は優しく笑い何かを思い出しているようだ。


ジェイド様こそ疲れた様子を表に出すことはない。



『ローズと出会う前のシエルも表情の乏しい男だったよ』

『シエル様がですか?』

『いや、シエルだけじゃないな。私もローズと出会う前はもっと無愛想だったよ』

『ローズ様の存在は凄いんですね』

『そうだね…かけがえのない存在だよ。だけど、子供たちもその資質を受け継いだようだ』



ルナもリオも一緒にいると心が和む。


俺にはない才能。



『分かる気がします。ルナと一緒にいると不思議と心が穏やかになります。リオは心を落ち着かせてくる感じがします』



俺の言葉にジェイド様はニコニコ笑っていた。


そんなジェイド様の目を見るのが恥ずかしくて、目を逸らすとジェイド様は更に可笑しそうに笑い出してしまった。







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