月夜の太陽
「今から厩に行くんだけど、一緒に行かない?」

「厩に何しに行くの?馬のお世話?」

「シエルがそろそろ帰ってくるから厩で待ってようと思って」

「お父様どこかに出かけてるの?」



お父様は基本出かける時は何も言わない。


出かけていることを知っているのはごくわずかの者だけ。


王の不在を外部の者に知られない為だ。



「ほら、最近山賊の被害に遭ってる人が多いでしょ?あまりにも立て続けに起こっているから直接調査に行ってるの」

「そうなんだ。問題ってなくならないね」

「そうね…悲しいことだけどこれだけの人が生きていれば、それだけの考えがあるから問題をなくすのは難しいわね」



そうだよね。


ソルの問題だってそう。


ビリー様が考えを改めて下さればこんなに大きな問題にはならなかった。


ビリー様の考えなのか、謎の商人の入れ知恵なのかは分からないけれど。



「私もお父様を厩で待つわ。驚いた顔が見たいから」

「だったら2人で驚かしましょうか」

「気配を消してねっ」



私たちは悪戯が成功した時の事を想像しながら、ワクワクした気持ちで厩に向かった。


だけど、こんな提案しなければ良かったと……酷く後悔した。






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