月夜の太陽
ただただ目の前にいるビリー様と思われる男を見るしか出来ない。


そんな私の様子に気付いたのか、男は口元を歪め可笑しそうに笑った。



『あの時腹にいた子供だろ?無事に生まれたのか』

「お陰さまでね」

『だがまだ青いな。やはり俺は熟したお前の血の方がいい』



いきなり男から凄まじい程の力が放出され、突風が巻き起こった。


私は思わず目を瞑ってしまった。


その時、何かが壊れる様な大きな音がした。



「お母様ッッ」



お母様は結界を張っていて、傷一つおっていなかった。


じゃあ、さっきの音は?


辺りを見回すと、後ろの壁が壊れていた。



「ルナ、ダリアに乗ってここから離れなさい」

「お母様も一緒に逃げましょうッッ」

「私は逃げるわけにいかなくなってしまったの」



お母様の言っている意味が分からなかった。


どうして逃げないの?



「貴女の力なら結界を潜り抜けられる。早く行きなさい」

「でもッッ」

「行きなさいッッ!!!!」



私は急いでダリアにまたがり、壊れた壁から外へ急いで飛び出した。





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