月夜の太陽
厩に辿り着くと未だに結界が張っていて、それはさらに強力なものになっていた。


こんなに強い結界、私には壊せない。



『僕がやる』



目を赤くしたリオが結界に手をかざし、呪文を唱えた。


こんなに焦りを露にしているリオは初めてだ。


結界が壊れると、濃い血の匂いが一気に流れ出てきた。


急いで厩に入ると、壁や床一面に真っ赤な血が飛び散っていた。



「お母…様?お母様ッッ!!!!」



お母様の体は結界に守られていて触れることが出来ない。


だけど、結界の中に横たわるお母様は血だらけで意識がなかった。



「意識を失っているのにどうして結界が消えないのッッ!?」

『ルナ様下がっていて下さい』

「だけどッッこのままではお母様が死んでしまうッッ!!」

『意識を失っていても母様の強い思いがまだ残ってるんだ』



そんな……。


だれが試しても結界は壊れなかった。


出血が止まっていない箇所もあるように見える。


このままだと本当に命に危険が及んでしまう。


それに、純血の姫の血はヴァンパイアの理性を狂わせる匂いでもある。


エルグラムや他の騎士団、混血のヴァンパイアはあまり長いすることは出来ない。





< 303 / 471 >

この作品をシェア

pagetop