月夜の太陽
私はソルの腕の中から出て立ち上がり、お父様の傍へと歩み寄った。


お父様の隣に腰掛け、そっと腕に触れた。



「お父様、ごめんなさい」

『どうしてお前が謝るんだい?悪いのは城を不在にしていた私だ』

「違うよ…お仕事だったんだもん。悪いのはすぐ傍にいたのに守れなかった私………」



お父様のしなやかな手が私の頭に乗り、ゆっくり撫でてくれる。


慰めるつもりが逆に慰められてしまった。



『お前がそんな悲しそうな顔をしていては、ローズが悲しむ』

「ッうん……」

『おいで』



お父様が一番辛いはずなのに、安心させるように微笑みながら腕を広げてくれる。


私は泣きながらその胸の中へと飛び込んだ。


そんな私の背中を『もう大丈夫だ』と言いながらさすってくれる。


もう、大切な人が傷つくのは見たくない。


私はどうすればッッ………。


その日はずっとそんな事を考えていたが、結局答えは見つからなかった。






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