月夜の太陽
『darkmoonという組織は滅びた。だが、組織に属していた者たちが滅びたわけではない』

『どういう……意味ですか』

『生き残った者たちはこのエメラルディア家に仕えている。カインを慕っていた者たちだけだがな。城から少し離れた場所に皆が住む建物が建てられていて、この城とは地下で繋がっている』



滅びた筈のdarkmoonがこのエメラルディア家の中に存在している。


それも一番傷付けられたであろうローズ様の傍に。


誰が望んだ事だろうか。


ローズ様?


そんな…まさかな……。



『父様、こんな事態にならなかったら僕たちにずっと隠しているつもりだったの』

『……あぁ、そうだ』

「そんな…どうして!?お母様は知ってるの!?」

『ローズが望んだ事だ。行き場を失ったdarkmoonの生き残りを受け入れる事もその存在を隠す事もな』



信じられない。


それは皆も同じなようで理解できないという顔をしている。


勿論ローズ様の考え方を。



『せっかくのお話でしたが、ローズ様のご好意に甘えてはいけないと、我々はずっと拒み続けていました。でも、みんなでたくさん話し合って決めたんです』

『図々しくこの国にいることをですか』



話を聞いていると怒りが沸々と込み上げてくる。


ザックさんにも強い口調で接してしまう。






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