月夜の太陽
広い部屋の中は静寂に包まれた。


外の音すら聞こえないのはシエル様が結界を強く張っているからだろう。


目を瞑れば無の中にいるみたいだ。


近頃はあまりにも慌しく、自分と向き合う時間を作っていないなと思った。


何気なくしていたことだが、今その何気ないことをとても大切に感じる。


静かな空間の中、ドアをノックする音が響いた。



『……ローズ』

「お母様ｯｯ!!!」



ルナはローズ様に急いで駆け寄ると、そのままの勢いで抱きついた。


ローズ様も柔らかく笑いながらそんなルナを愛しそうに抱きしめる。



「怪我はない?」

「私は平気!!お母様はｯｯ?」

「まだ少しだるいかしらね」

「ごめｯｯん、なさい……」

「謝るのは私の方。辛い役目をさせてしまってごめんなさい。本当に無事で良かった」



小さな子供の様に泣き出したルナを笑いながらあやしているローズ様を見て、心が温かくなった。


皆の表情もさっきまでとは打って変わって柔らかくなっている。






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