月夜の太陽
ルナを落ち着かせると、ローズ様は俺にルナを預けるように椅子へ座るよう促した。


ローズ様はなんとか立っているという感じで、まだふらついている。


気付けばシエル様がローズ様の直ぐ後ろにいて、優しく肩を抱き支えて微笑んだ。



『無理をしてはダメだ』

「大丈夫、無理なんてしてないわ」

『ローズの笑顔を見れただけで十分だ。もうベッドへ戻ろう』

「まだダメ。何が起こったのか皆に話しておかなければいけないし、これも早くジオラさんに渡したいの」



ローズ様は大事そうに抱えている剣をそっと差し出した。


何のために抱えているのかも、誰のものかも分からなかった剣。


だが、ジオラさんは目を見開き震える手でその剣を手に取った。



『どこで…これを……』

「ビリー様の腰にぶら下がっているのが見えたんです。変わった装飾が施されている剣ですからすぐに分かりました。カインのものだって……」

『お前さんッこれを奪い取る為に逃げなかったのかッッ!?』

「はい」



キングの剣?


そんなものの為に血を流すのを覚悟で立ち向かったというのか……。






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