月夜の太陽
『馬鹿野郎ッッ!!!!!!!』



ジオラさんの大きな怒鳴り声が部屋中、いや…部屋の外まで響き渡ったであろう怒鳴り声のせいで、みんな驚き思わず肩が飛び跳ねた。


寿命が縮まるんじゃないかと言うくらい心臓も飛び跳ねた。



『こんなもん放って何でさっさと逃げなかったんだよッッッ!!!!!!お前さんにもしものことがあれば俺ぁあいつに顔向けできねぇッッ!!!!!!!』

「全て燃えてしまって何も残ってないから…せめて、カインが大切にしていたこの剣だけでもジオラさんにお渡しできればと思ったんです」

『人には無茶をするなっつぅのにお前さんはどうしてそう自分は無茶をするんだッッ』



「ごめんなさい」と呟いたローズ様は申し訳なさそうに、だけどほっとした様な顔をしていた。


ローズ様の頭をガシガシと乱暴に撫でるジオラさんも呆れたような笑顔を浮かべていた。


でも、どこか嬉しそうにも見えた。


ローズ様は振り返り、皆を見渡し深々と頭を下げた。



「皆さんご心配をおかけしてすみませんでした」



その直後慌てて駆け寄ったのは母さんだった。


満面の笑みを浮かべるもの、涙を流しながら嬉し泣きしているもの、優しく微笑んでいるもの、それぞれ表情は違うが共通して言えることは皆が笑っているということ。


笑うことでこんなにも心が温もりに包まれるとは思わなかった。





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