月夜の太陽
話が難しくて分かってるんだか分かってないんだか自分でもよく分からない。



『ローズ様の話だとレイドは心臓以外外傷はなかったようですけど、ジオラさんは先程使い物にならないからだとおっしゃいました。どういう意味ですか』

『この剣のせいでレイドの体は使い物にならなくなったんだ。だからこの剣をローズが持ってる理由を聞いて、思わず感情的になっちまった。この剣に刺されてたらいくら純血とはいえ死んでたかもしれねぇ』



剣をそっとテーブルの上に置くと、ジオラさんは懐かしそうに眺めていた。


複雑な装飾を施されている。


大きな赤い石はルビーだろうか。



『そう言えば昔、闇オークションで珍しい剣が出品されると小耳に挟んだことがあったな』

『さすがですな。仰るとおりこれはその闇オークションで手に入れ、カインに渡したものだ』

「闇オークションって何?」

『言葉の通りだ。危険なものやこの世界の秩序を乱すようなものは本来ならば処分しなければいけないが、そうはせずに競売にかけるんだ』

「そんな危ない競売許していていいの!?他にも危険なものが出回ってしまうということでしょう!?」



知らない話ばかり。


私は今までどれだけお父様やお母様に守られていたのかよく分かった。


この世界は平和そうに見えるだけで、そうではないのかもしれない。




< 320 / 471 >

この作品をシェア

pagetop