月夜の太陽
この良くない状況でも、みんながこうやって揃って同じ場所にいることを幸せに思った。



『レイドの死体を運び出した奴は気付いた。もうこの体は使い物にならねぇとな』

「じゃあレイドの体を使わずに、ビリー様の体にレイドの魂を入れたのかしら」

『レイドの血をどうにかしてその男の体に入れたんだ。それしか思い浮かばねぇ』



血をビリー様の体の中に入れた……どうやって?


私たちヴァンパイアは基本的には異性の血を好んで飲む。


ヴァンパイアにする時や純血の姫が力を与えたい時、もしくは愛し合っている場合の時でなければ同姓の血を飲むことはない。


ビリー様がレイドという男の屍を愛したとは到底思えない。


食事に混ぜられれば匂いで分かる……無理矢理飲まされたとしか思えない。



「ビリー様の雰囲気が変わってしまったのはレイドのせいだったって事ですか?」

『周りが可笑しいと思わねぇように、徐々にレイドの魂を体に植え付けていったんだろうよ。まぁそれ以前から変な奴らに目を付けられてたみてぇだけどな』

「その禁術を行った者は死んでしまったんですか」

『あぁ…レイドの魂が完全に新しい体に定着した後、術者は死んだ筈だ』







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