月夜の太陽
つい先日は挨拶ぐらいしておいてやろうとウェルヴィアの城へと足を踏み入れた。


勿論王の不在は知っていた。


そうなるよう仕向けたのは我々だ。


そして、運がいいことにローズとその娘と一番に遭遇した。


相変わらず可愛げのない女だったが、血だらけになった女は美味そうだった。


キングの剣であの女をズタズタにしてやりたかったが、ローズは怪我を負う代わりに俺から剣を奪い、強力な防御壁を作った。


一筋縄ではいかない女だ。


だが次は結界を張る暇など与えてはやらん。



『レイド様、どうかお力を少しお鎮め下さい』

『俺に指図するな』



少し力を入れただけで、男の体は吹っ飛び、ガラスや電球は割れ、風が勢いよく吹き込んできた。


俺の力。


なんて気持ちのいい力だ。



『ククッ……俺こそがこの世界の王だッッッ!!見ていろキング!!!!手始めにまずお前が大切にしていたものを壊してやるッッ!!!!!!!!』



暫く部屋中に以前の声よりも少し高い笑い声が響き渡った。


その声は壁に反響し、まるで大勢の者たちが俺の復活を喜び、称賛しているかの様だった。







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