月夜の太陽
『こんな大事な事が後回しなのか』

『大事な事だけど順番を間違えたら余計混乱を生むだけだよ。今のソルの心を一番占領しているのは何?』

『…………』

『分かってるはずだよ。もう、目を背けるわけにはいかないこともね』



色んな事を無駄に大きく考え悩もうとしているのは、本当に向き合わなければいけないものを霞ませたいからだ。


だが、逃げれば逃げるほど大きくなって俺に迫ってくる。



『……カインという男を父親だと認めてしまったら、もうルナの傍にはいられないような気がする』

『父様も母様もカインの事を恨んではいないよ』

『それでも、俺が聞いた話だけでもdarkmoonが行ってきたものはどれも酷いものだ』

『その頭をしていたカインは、誰が何と言おうと悪党に違いないと?』

『……あぁ』



そのカインの血が流れているなら、王族として清らかな場所で生まれ育ったルナの傍に俺はいられない。


俺の中にも狂気が眠っているかもしれない。


まだ目を覚ましていないだけで。


何度自分の中で葛藤を繰り返せば答えは出るんだろうか。







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