月夜の太陽
俺は口を閉じ、話を聞く姿勢を見せた。


知ることで少しでも頭の中を整理できればと思った。



『アルファナさんが話を持ち掛けて来た時どうやらカインは乗り気じゃなかったらしいよ。だけどレイドは依頼を受けるべきだと言った』

『それで仕事を受けたがレイドにやらせたのか』

『そうみたいだね。サルエラから出たカインは数ヵ月後に屋敷に戻ってきたらしいよ』

『そんなに屋敷を空けて何をしてたんだ』

『ジオラさんも詳しくは聞かなかったらしいけど、過去を清算してきたって言ったそうだよ。元々感情を表に出す人じゃなかったみたいだけど、その日を境に全ての感情を無くしてしまったかのようだったんだって。二度目の依頼を受けたのは、恐らくしくじったレイドの尻拭いってところだろうって言ってたよ』



仲間の事は大切に思っていたと言う事なのか?


それとも別の理由があったんだろうか……カインは謎が多すぎる。


どういう人物だったかも知れば知るほど分からなくなる。


何か一つでいい…一つでいいからハッキリしたものを知りたいと思った。



『ローズ様と出逢わなければ、カインは罪を重ねていたんだろうな』

『恐らくね。カインの事を無理に父親だと思う必要はないと思うよ。だけど、もっと知ってからでも遅くはないんじゃないかな?カインを恨むのは』



ふと外を見ると散らばった光の中に丸い月が輝いていた。


どうやら今日は満月のようだ。


ルナも名前の通りいつも光を放っているかのように綺麗で堂々としている。


欠けることのない月。



『お前と話せて良かった……ありがとう』





< 332 / 471 >

この作品をシェア

pagetop