月夜の太陽
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肌触りがよく、ふかふかのお布団に挟まれて目を瞑り後は眠るだけ。


直ぐ横には丸まって規則正しく体を上下に揺らしながら眠っているステラ。


静かな空間の中で音と言えば時計の針の音だけ。


だけど私は夢の中へはいけそうになかった。


静かにベッドからおり外を見ると綺麗な満月が出ていて、風も穏やかに吹いているようだ。


クローゼットから動きやすそうなドレスを選んだ。



「ステラ、いい子にしててね」



聞こえるか聞こえないかくらいの声でそう告げると、私は気配を立ち部屋を出た。


廊下には勿論誰もいない時間帯で、不気味なほど静まり返っていた。


だけど、怖いと思わないのは生まれ育った場所だからだろう。


歩きなれた廊下を音を立てずにゆっくりと滑るかのように歩いた。


子供の頃はこうやってよく執務室に忍び込み、お父様を驚かそうとしたな。


でも成功したことはない。


気配を消していてもどんなに音を立てずに近付いても必ず見つかってしまい、結局お父様を驚かすことは一度も出来なかった。


未だにその原因がなんなのかは分からない。






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