月夜の太陽
無性に外の空気が吸いたくて、私はお城の外へと足を踏み出した。


こんな時間にしかも1人で出してくれるわけはないので、正門からではなくいつもの穴から外に出た。


純血の姫である自覚を持つようにお父様から強く言われていたが、どうしてもあのお花畑に行きたくて、心の中でお父様に謝りながら穴を潜った。


それに、最近は騎士団たちが以前よりも見回りを強化している為か、この国で問題は起こっていない。


私たち以外のところで…だけど。


段々と花の香りが近付いてきた。


そろそろお花畑に辿り着きそうだ。


心地のいい風を体で感じながら一歩一歩を噛み締めるかのように足を進めていると、ようやくお花畑が見えてきた。


だが、私は思わず足を止めてしまった。


お花たちに囲まれ両手を広げ月明かりを浴びている者がいたからだ。


金色の髪に金色の瞳……街に出るきっかけをくれた妖精のような彼。


正直もう忘れていた妖精の彼。


私の視線に気が付いた彼と目が合い、お互い驚いた表情になる。



「………ソル」






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