月夜の太陽
私の手を包みこむかの様に上から男らしく、だけどどこか繊細にも見える手が重ねられた。


表情には現れていないが、どことなく瞳が揺れているように見え、ソルが心配してくれている様に感じた。


そんなソルに言葉をかけるのではなく、微笑んで見せた。



『もう一つ、ソルに謝りたい事があるんだ……』

『謝りたい事ですか』

『……事情はどうあれ本来であれば私が父を始末しなければならない。だが、いざ父を目の前にしたら優しく穏やかだった頃の事を思いだし、躊躇してしまうと思う……だから……シエル様のお考え通り、私もソルにお願いしたい……レイドを殺してくれ』



ロナウドは話をしながら迷っている心をスッキリさせようとしているようだった。


彼は最後にビリー様の事をレイドと言った。


これ以上辛く悲しい思いをしないためにも、"父"と呼ばすに"レイド"と呼ぶことで冷静さを保とうと努めているかのように。



『……本当にいいんですね』

『あぁ…辛い役目を負わせてしまって本当に申し訳ない。私たちの事は考えずに、君の望む未来の事だけを考えて欲しい』



言葉を言い終えると、目線をソルから私へと移しロナウドは微笑んだ。


私は泣いてしまいそうだった……ロナウドが儚く今にも崩れてしまいそうに見えたから。






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