月夜の太陽
隣で食事をしているソルは出かける前よりも落ち着いた雰囲気になっているような気がした。


もやもやが晴れたような顔をしている。



「カインとそんなに長くお話してたの?」

『いや、父とは少しだけ会話をしただけだ』



ソルがカインの事を父と呼んだことにみんな驚きを隠せず、食事をする手を止めてしまった。


リオなんて飲んでいた水で咽てしまったようだ。



『父の過去を聞いた』

「聞いた?どういう意味?」

『偶然なのか必然なのか、父の育ての母に会ったんだ。エリーという女性で、とても素敵な人だった』



そう語るソルはとても穏やかな顔をして、グラスに入った水を一口飲んだ。



『彼女からローズ様とシエル様に伝言を承って参りました。「息子が取り返しのつかないことをしてしまい誠に申し訳ありませんでした。亡き息子に代わって私がどんな罰でもお受けいたします。」と………』

「なんてこと……私の方こそエリーさんに謝らなければいけないと言うのに」

『カインがあんなふうになってしまったのは自分のせいだと、エリーは酷く自分を責めていました』



ソルはエリーさんと話したことを一語一句丁寧に、私たちの顔を見ながら話してくれた。


話の内容は酷く、悲しいもので、涙を見せるものもいた。


私もそのうちの1人で、泣かずにはいられなかった……こんな酷いことがあっていいのかと憎しみと言う黒い感情に覆われてしまいそうだった。






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